2011年12月31日土曜日

素描



この絵に描かれているものが、なんだかわかりますか?


そう。
珈琲と、芋けんぴ。

素描家のしゅんしゅんさんが、TOCORO BLEND COFFEE「AUTUMN」(現在「WINTER」が発売中!)の小冊子のために描いた原画が我が家にやってきました。


すごく、いい!
おいしい芋けんぴを作れる気が湧いてきます。

というか、珈琲と芋けんぴをセットで描いた絵は、世界で初なんじゃないかな。


しゅんしゅんさんの絵と出会ったのは、ずいぶんと前。
tocoro cafeの上村さんが「お店の様子を、その場で描いてくれた方がいるんですよー。」と一枚の絵を見せてくれたのが最初でした。

その絵を見た瞬間、tocoro cafeの空間を作った、小泉誠さんに対する僕のイメージがそのまま絵になっている!と感じました。

そのイメージとは、手描きの直線。

直線なんだけど、機械的な冷たい直線じゃなくて、手の温もりを感じる暖かい直線。
小泉さんはカタチで、しゅんしゅんさんは素描で表現するけど、同じものを見てるのかなあって思います。
それが「素」なんでしょう。
奇しくも小泉さんが書いた本のタイトルが「デザインの素」ってのもね。

そんなしゅんしゅんさんの2年間のスケッチが詰まった素描集「糸の泉」が、現在tocoro cafeで買うことができます。

しゅんしゅんさんが出会った、カフェやギャラリーの店内や外観などが文章と共に描かれ、その場を構成するひとつひとつのモノに想いを巡らせることができる。そんな本です。
今までの集大成を感じると同時に、これからどんな素描が生まれるのかも楽しみになります。

僕もこの絵に描かれた、珈琲と芋けんぴの組み合わせを、もっとたくさんの人が楽しめるよう頑張ろう!

2011年12月28日水曜日

『flip-flopと』の戦略


芋けんぴの販売を始めたのはいいのだけど、目下の課題は「作るのに時間がかかりすぎる」ことです。

今までは、1回で1kg分のさつまいもを揚げて、多くても4回。しかも鍋も小さかったので油の温度も上がりやすく、時間を気にしたことがありませんでした。
しかし、販売となるとまとまった数が必要で、ここ最近は作れる量と時間のバランスを最初は8kg、次は12kg、その次は16kgと、いろいろ試していました。
さらにはパッケージもひとつひとつ手作業で、これが意外と時間がかかります。

そうなってくると心配なのはお金のこと。
こんなペースでお金が回るんだろうか。いや回らない…
なんて考えていると、どんどんクリエイティブな、おもしろい発想が失われていくのを実感しました。なるほど、これが世の中つまらなくしている原因か、と。

「作るのに時間がかかる」という話を人にしたら、「手作り感」を売りにしてはどうか、と言われました。確かにそういう「戦略」は必要だな、と思っていました。
この芋けんぴ、何が売りなのかと。

「手作り感」を売りにすることはできます。一本一本包丁で手切りしていて、おいしい芋けんぴを目指し、ちょっとずつ太さを変え、揚げ方や温度を変え、最適な方法を探っています。
だから均一なものはできなくて、それを「手作り感」と呼ぶことはできます。
しかし、すでに使い古された「手作り感」という言葉に、すごく違和感を感じるのです。

戦略は、人の信頼を得たり、気を引いたりする、「表」の看板のようなものです。
そこにはきれいな言葉、刺激的なイメージが並びます。
でも、取り繕って、または思惑を感じる看板に魅力は感じません。
「表」はむしろ、豊かな人間らしい「裏」があってこそあるものじゃないか。
裏側の挑戦したり、失敗したり、うまくいったりのくり返しで、自然に表ができてくるものじゃないか、と思うのです。

だから『flip-flopと』の戦略は、戦略は自然に出てくる。
要は、あるがままを出す、ということかなあ。



なんて書いてみたんだけど、大人の都合で書けない。とかあるのかなあ。
ちょっと楽しみでもあります。

2011年12月24日土曜日

可笑しいお菓子、売ってます。


ついに、芋けんぴの販売が始まりました!

始めは6ヶ月間通っていたネイチャリング・プロジェクトの懇親会でのイベント販売。
そして、狛江のカフェ 茶茶さんでのテイクアウト販売。

ようやくひとつ、カタチにすることができました。
しかしまだ始まったばかり。これからです。
他の協賛店さんにも、もうすぐ置いてもらう予定です。メインに考えていたリヤカーでの移動販売は準備中で、年明けになりそうです。


さてこの辺りで、ここに至るまでの苦労話になりそうですが、それは置いといて。

上のチラシ、
「可笑しいお菓子」とは何ぞや?と思った方もいるでしょう。てかほとんどか。
このキャッチコピー。なんでこうなったかというと、

芋けんぴのあるシーンに、今生きている可笑しさを感じてもらいたい。そんな想いが込められています。もちろん駄洒落じゃありません。まあ、ちょっとだけね。

可笑しいって不思議な言葉です。
僕はその言葉の中に、日々の感謝と楽しさ、そして少しだけ、胸の奥がチクッとする痛みが含まれているように感じます。
それは、生きていればどんな瞬間にも感じられる、普段の日々の感覚なんだと思うんです。

例えば芋けんぴでいうと、さつまいもと砂糖だけで作られて体に悪いものは入ってなく、おいしくてポリポリ食べられる。おいしくて幸せなんだけど、心の奥ではちょっとだけカロリーを気にしてしまっている、、、そんな感じ。

家でぐうたらしてる時も、外でちゃんとした手土産として渡す時も。
どんな普段の生活のなかにでも溶け込んでいける芋けんぴは、まさに、可笑しいお菓子なのです。


そんなわけで、可笑しいお菓子の芋けんぴ。
これからどうぞよろしくお願いします。


flip-flopと
加藤晶夫

2011年12月20日火曜日

マスキングテープとメニュー



マスキングテープです。


今はすっかりおなじみになったマスキングテープですが、このシリーズ化のきっかけは前に住んでいた経堂にあったロバロバカフェの方の感性と情熱があったから。

ってことを閉店してしまってから本で知ったんですけどね。僕はすごく家が近かったのに行ったことがありませんでした。無くなってから気付くことって多いですよね。

しかし、マスキングテープを「かわいい」と感じた感覚、すごくいいなあと思うのです。
今みたいにカラフルな色とりどりのバリエーションがなかった頃、実用性だけがあって生活の中に溶け込んでいたものを拾い上げ、もっとこうしたらかわいいんじゃないか、と思えた。
別に新しい価値を一から作りあげなくても、普段の生活の中にかわいいもの、おもしろいものはたくさんある。
それを拾い上げられる視点がもっと広がれば、世の中おもしろくなると思うんだけどなあ。


さて、前置きが長くなりました。

このマスキングテープ、何に使うかというと、芋けんぴの種類が一目でわかるように目印として使います。
ついでに販売する芋けんぴのメニューも紹介!


臙脂(えんじ):紅はるかを使った、ちょっと堅くて細め、ポリポリとした食感のなかに芋本来の甘さを感じられるスタンダードな芋けんぴ


アプリコット:βカロテンを含んだ人参芋を使った、噛むとじゅわーと特徴的な甘みが広がるオレンジ色の芋けんぴ


葡萄(ぶどう):パープルスイートロードという紫芋のなかでも、すっきりとした甘みとほっこりとした食感が特徴の芋けんぴ。


チョコレート:埼玉の濱中農園さんが作った紅あずまを、黒糖で味付け。コクのある力強い風味の芋けんぴ。

始めはこの4点での出発です!
これから時期によって芋の種類が変わったり、特別メニューが発表されるかもしれません。
楽しみにお待ちください。

2011年12月16日金曜日

大和製衡 普及型 上皿はかり



「はかり」です。


芋けんぴ関係ないじゃん。と思った方、まあちょっと聞いてください。
最近、ブログの更新サボりがちでしたが、その分販売の準備は着々と進んでいました。

以前は車での移動販売を考えていましたが、できることをやる。夢のようなふわふわした話じゃなく、しっかりと手応えを感じながら進める道を探っていたら、自然にリヤカーでの移動販売にたどり着きました。
なんでかっていうと、それはやっぱりそっちの方がおもしろいから、としか言えないなあ。

で、販売形態は「計り売り」。

計り売りであれば少ない量も買いやすいし、好きな人は好きなだけ買える。
それにリヤカーで計り売りしている姿は、なんかいい。


そして、計り売りに似合うはかりを探したのでした。

デジタル表示は、水気や衝撃に弱そうだし、きっちりした数字が見えるのはなんか違う。
アンティークのものも考えたけど、機能やメンテナンスの心配もあるし、懐古的な雰囲気を狙ってるわけでもない。

そうやって考えていくとたどり着いたのが、この「YAMATOの上皿はかり」でした。

業務用でこのタイプのはかりを今でも作っているのはYAMATOを含めても2、3社だけ。
そのなかでYAMATOを選んだ決め手は、これは言葉にしにくいのだけど、佇まいに信頼感が漂っていたから。
なんなんだろう、この感じ。

でも確かに、業務用らしさ、値段や装飾に惑わされていない真面目さが、デザインに表れていると感じます。
そういうの好きなんだよねー。

というわけで、芋けんぴの移動販売にまつわるデザインの話もちょこちょこ書いていきたいと思います。

2011年12月1日木曜日

いろいろいも

鹿児島の久木田農園さんからいただいた、様々な種類のさつまいもを使って、早速芋けんぴを作ってみました。

左が、人参芋。
皮は白色で、なかは人参のようなオレンジ色。(…人参のような、は言い過ぎか。)
味は独特の風味と甘さがあり、食感はしっとりとして、はじめて食べたら「あっ、おいしい。」と思える芋でした。

右が、パープルスイートロード。
なんかすごい名前ですが、その名のとおり紫芋のなかでも甘みのある品種です。
癖のないきれいな甘さで、食感はほっこり。ほっこり系は芋けんぴにするとカリッと小気味よい食感になります。

きれいな紫とオレンジの芋けんぴができました。
同じように揚げても、それぞれ違う甘み、食感、風味があり、これからそれぞれの芋にあった、太さや揚げ方、砂糖の種類も選んでいこうと思います。


まだあります!

左が、紫娘(むらさきむすめ)。
皮が白色で、なかの色はうすい紫。
かなり繊維質な感じで、切るのが大変でした。

右が、太白(たいはく)。
なかが真っ白の芋。
紅あずまなどが市場に出回る前は、さつまいもと言えばこの太白だったそうで、世代の方には懐かしい味のようです。
粘りのある食感と甘みが特徴で、芋けんぴにしても独特の食感が出せそうです。


さつまいもって日本では主食にはならなかったけど、戦時中の食糧や江戸時代の飢饉を救ったりもして深い歴史があるんです。
今回、いろんな芋を見て、切って、揚げて、食べてみてその歴史の積み重ね、人の努力の積み重ねをすこし感じることができました。

何度も言ってますが、芋けんぴっておもしろいなあ。